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2007年08月05日

奇蹟のベストセラー

本には帯がついていて、いろんな人がそこに推薦文を書いている。
いい推薦文とは、どのようなものだろうか。推薦文とは実際に書いてみると意外に難しいものだ。
たとえば、いま手元に一冊の本がある。その帯の裏には3人の書店員による推薦文が書かれている。
「子供にも、大人にも、とっておきの名作であること、まちがいナシ!」
「胸の奥のどこかに何かがジワジワとしみ込んでくる不思議な一冊です。」
「少年の成長が、感動を呼ぶ。心の琴線に触れる傑作です。」
こう並べてみて、いったいこれが何というタイトルの本かわかるだろうか。
自分でこう書いてみてちょっと驚くのだが、たぶんほとんどの人はさっぱりわからないような気がする。『バッテリー』? 『IWGP』? 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』? 青春小説? 恋愛小説? 歴史小説? それともノンフィクション? 誰かの伝記? それさえもわからない。なんだか少年が出てくるすべての物語に当てはまってしまいそうだ。
実は帯の表には、ある作家の推薦文も載っている。こちらは少し中身に踏み込んでいるけれど、でも内容を的確に表しているとは思えないのだった。というのも本の中身はその推薦文の勘どころと正反対の位置にあるような気がしたから。
私たちはたくさんの本を読む。しかし出てくる感想は、いつも似たようなものだ。後に残るものは、もしかしたら他の本と簡単に代替できてしまう程度のものなのかもしれない。
でもぴたりと決まった推薦文を見たとき、とても清々しくて嬉しい気持ちになる。その本が特別なものになったような気がする。
振り返って自分のことを考える。さて、自分はかけがえのない帯推薦文を書けているだろうか。
posted by 瀬名秀明 at 17:56 | TrackBack(0) | 読んで書く、書いて読む | 更新情報をチェックする
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