一時期のクーンツは、やや長いフレーズをタイトルに持ってきて、それが凄みを出していた。私はクーンツの長いタイトルが好きで、"Dark River of the Heart"(心の昏き川)とか、"By the Light of the Moon"とか、想像力を掻き立てられてかっこいいよね。
ところが、あるときからクーンツはシンプルなタイトルに戻る。これがまた"The Face"やら"The Taking"やら、「クーンツさん、やる気あるの?」というようなテキトーなタイトル。
でもオッド・トーマスのシリーズ(現在まで3冊刊行。面白いです!)を挟んで、また面白い具合になってきたのだね。
なんと表紙にストーリーが書いてある!
"Velocity"の表紙は、
「もしおまえがこのノートを警察に届けなければ、私はナパ・シティのどこかにいる可愛いブロンド教師を殺す。
もしおまえがこのノートを警察に届けたときは、ひとりの中年女を殺す。
どちらを選ぶか、おまえには6時間の猶予がある」
このメモ用紙が大写しになっているわけ。
わはははは。なんと素晴らしいフック。
『ハズバンド』のカバージャケットになると、
「さて、我々はおまえの女房を預かっている。現金200万ドルで返してやろう」
「頼む、聞いてくれ。おれはただの庭師なんだ」
「知っているさ」
「冗談じゃない。どうやって現金200万なんて手に入れればいいんだ?」
「方法を考えろ……」
いやあ、いまどき誰がこんなストレートな釣りで本を出せますか。クーンツ万歳。
それで続く新作"The Good Guy"では、
あらすじを読むと、どうやら主人公の男はバーで殺し屋と間違われて、いきなり千ドルを渡される。彼は殺しを依頼した男にそれを返そうとする。なんと相手の男は警官だった! 主人公は殺しの依頼人を止めることができるか? という話らしい。で、表紙に刷り込まれた一言は、
「かわりに私を殺してくれ」
あいかわらずキてます。
すでにその次の作品も告知済み。おお、長いタイトルシリーズ復活!
"The Darkest Evening of the Year"
……もうね、犬のシルエットだけで泣きますよ。しびれます。
