『境界知のダイナミズム』のゲラ校正終了。疲れた……。燃え尽きた……。
言及される作家や小説
ダン・シモンズ『サマー・オブ・ナイト』
横道仁志「『鳥姫伝』評論 断絶に架かる一本の橋」
G・K・チェスタトン「おとぎの国の倫理学」
スタニスワフ・レム『ソラリス』
テッド・チャン「あなたの人生の物語」
アントン・チェーホフ「退屈な話」
ジョウゼフ・コンラッド『シャドウ・ライン』
アルベール・カミュ『異邦人』
J・R・R・トールキン『指輪物語』
うーむ節操がない。これらに脳科学や言語進化学や文化人類学や社会心理学や認知ロボティクスの話が絡む。俺のノンフィクション作品の中ではダントツで面白いと思うのだけれど、どれだけ売れるかさっぱりわからない。そもそも文芸編集者に読んでもらえなさそう。
ところでレムの『ソラリス』のラスト一文が、旧来のハヤカワ版と新しい国書刊行会版でかなり違うことは有名な話。今回の原稿では、国書刊行会版で押し通したが、なぜかというとハヤカワ版から引用すると論旨が成り立たなくなってしまうから。
ロシア語から翻訳されたハヤカワ版のラストは次の通り。「しかし、私は、驚くべき奇蹟の時代はまだ永遠に過去のものとなってしまったわけではない、ということを固く信じていた」
ポーランド語からの国書刊行会版はこうなる。「それでも、残酷な奇跡の時代が過ぎ去ったわけではないという信念を、私は揺るぎなく持ち続けていたのだ」
では英語版は? と思ってAmazonで立ち読みしてみた。「I persisted in the faith that the time of cruel miracles was not past.」
ふーむ、persistやfaithという語感からすると、やはり信念が持続する感じが入っていて、国書版の方が近い。
しかしレムって、ロボットのことをどう考えていたのかよくわからん。いや、小説からだけならわかるのだが、トータルでどう考えていたのだろう。『技術大全』や『対話』を読まないと、レムのロボット観について何も有意義なことは語れそうにない気がする。というわけでそれらの原著を買ってあるのだが、俺にはとても読めないのであった。
いや、こんなことを書いている場合ではなく、まだ他にも残されたことが……。
瀬名秀明がゆく!東北大学機械系 *毎週金曜日更新
Science Pot 中学生と東大大学院生が科学を一緒に楽しむためのサイト
瀬名秀明の本棚β *著作一覧はこちら
瀬名秀明の課外ゼミ[flight]+東北大学キャンパス散歩
2006年11月06日
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