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瀬名秀明の課外ゼミ[flight]+東北大学キャンパス散歩
2006年06月16日
『第九の日』刊行
【新刊】『第九の日 The Tragedy of Joy』/光文社/2006.6.25/ISBN4-334-92499-9/本体1700円/初刷15,000部/装画=牧野千穂、装幀=守先正、本文デザイン=宗利淳一 【amazon】【bk1】【広告】
イラストも装幀もオビ惹句も実にいい感じ。『デカルトの密室』とは意図的に雰囲気を変えて大成功。
以下は内容についてのちょっとしたメモ。(e-NOVELSに寄せた文章を加筆訂正)
●「メンツェルのチェスプレイヤー」(島田荘司責任編集『21世紀本格』所収、2001.12.20)
元ネタはポオ「メルツェルのチェスプレイヤー」。
長篇『デカルトの密室』に登場するロボット学者ユウスケ、進化心理学者レナ、ロボットのケンイチが登場するミステリー連作の第一作。島田荘司さんからの「21世紀のモルグ街を!」との檄に答えるかたちで書いた。これを書いたときは、その後シリーズになろうとはまるで思っていなかったのだった。
なぜ「メンツェル」なのか? 締切ぎりぎりで、タイトルだけを先に編集部へ送らなくてはならなくなったとき、著者がうっかり間違ってしまったからだというのは公然の秘密。 『ロボサピエンス』のカメラマン、ピーター・メンゼルのことが頭にあり、編集部にあらかじめタイトルを伝える際、うっかり名前を間違えてしまったのだ。はい、原稿ではそのことをごまかしています……。
ケンイチの正体はほとんどバレバレだが、この中篇の主眼はそこにはなく、その後に出てくる自由意志がらみの会話にある。
最近、ピーター・メンゼルの新刊『地球の食卓』が、「メンツェル」表記で邦訳出版された。
●「モノー博士の島」(小説宝石2005.2、2005.3)
「『メンツェルのチェスプレイヤー』の続編を書きましょうよ」
「いやあ、それはいくらなんでも無理ですよ。高橋克彦さんの『ドールズ』をシリーズ化するくらい難しい」
「前回はポオだったから、次はウェルズかヴェルヌで」
「あ、なるほど」という編集者とのやりとりで、シリーズ化が決定。なんといいかげんな、と思われるだろうが、自分でもそう思うのであった。
今回の元ネタはウェルズの『モロー博士の島』とエラリイ・クイーンの『帝王死す』。モノーとは、『偶然と必然』のJ・P・モノーのこと。長篇『デカルトの密室』も含めて、ようやく連作らしくなってきた頃の作品。
ジュゴンの生態をいろいろ調べたりもしたが、実際には本編中にほとんど入れられなかった。
●「第九の日」(小説宝石2006.2)
当初の予定では、「ボンド氏の逆説」という中篇を書いて一区切りを入れるはずだったが、『デカルトの密室』の読者からの反応が芳しいものではなかったため、予定を変更した。
ここから文章のトーンががらりと変わっているはずである(本の装幀はこちらのトーンに合わせた)。書き上げた直後はずいぶんと消耗して、なかなか読み返せなかった。俺の小説の中でも転換点となるものだろう。
●「決闘」(書き下ろし)
東北大学機械系の部屋で初めて書いた小説。どっしりとした机と椅子の影響を受けて、文章もいつもとはずいぶん違う。
『のび太の恐竜2006』の主題歌「ボクノート」をずっと聴きながら書いていた。この短篇のテーマは、つまり「ボクノート」の第二間奏曲部分である。低いうなりが徐々に持ち上がってゆくような、抑圧された思いが晴れ上がった空へと昇華されてゆくようなイメージである。
「第九の日」がエラリイ・クイーンにおける某作品であるなら、「決闘」はその次作である某作品が始まる直前、ということになる。事件らしい事件も起こらないが、むしろクイーンに近づいており、決してミステリーから離れたわけではない。
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Tracked: 2006-07-10 18:04
第九の日
Excerpt: どうも、aibo太郎です。瀬名秀明さんの新刊、第九の日。図書館で今日借りてきました。さっきまで読んでいたのですが、最初の章の「メンツェルのチェスプレーヤー」おもしろくて10分で100ページほどの一章を...
Weblog: ロボットの研究室に通う中学生のロボット日記
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