ホームページはこちらです。→瀬名秀明の博物館
瀬名秀明がゆく!東北大学機械系 *毎週金曜日更新
Science Pot 中学生と東大大学院生が科学を一緒に楽しむためのサイト
瀬名秀明の本棚β *著作一覧はこちら
瀬名秀明の課外ゼミ[flight]+東北大学キャンパス散歩

2008年01月29日

「Timebook Town」で『ゴッサマー・スカイ』販売中

 電子書籍サイト「Timebook Town」で瀬名の小説やエッセイが購読できます。
 以前に「e-NOVELS」というサイトで販売していた作品の一部が、こちらに移行したわけです。

瀬名秀明作品の販売ページ

 単行本未収録の魔女狩り歴史中篇小説『ゴッサマー・スカイ』に加え、今後は『瀬名秀明解説全集+α』も登場の予定です。どうぞご利用下さい。
(残念ながらMacユーザの人には対応していません)
posted by 瀬名秀明 at 20:43 | TrackBack(1) | ちょっとしたお知らせ

「瀬名秀明がゆく!」が新体制になりました

 特任教授の仕事の一環として続けているのが、東北大学機械系の活動を広くお知らせするウェブサイト「瀬名秀明がゆく! 東北大学機械系」です。毎週金曜日に更新されていることをご存じでしたか?

 シリーズ19以降は取材のテープ起こしから原稿執筆まで瀬名自身が担当することになりました。ときには瀬名の講演録なども掲載します。
 さらに昨年の夏からスタッフも一新され、そして今月のシリーズ23からは新しいデザイナーさんにご参加いただいてリニューアルしました。以前に比べてぐっと楽しい感じになったので、ぜひご愛読下さいね。
「瀬名秀明がゆく! 東北大学機械系」では、東北大学機械系のツアーに参加していただける方を募集しています。高校生に限らず、科学に興味のある方はぜひご応募下さい。瀬名といっしょに大学キャンパス内を歩いて、最先端の研究に触れるチャンスです。

 ワールドコン2007のシンポジウム記録を、書籍化に向けてただいま懸命に構成中です。
「ワールドコンはもともと作家も読者も同格で参加費を支払う文化なのに、瀬名企画の人々の一部は無料で大会に参加した。その上で書籍まで売りつけようとするのはあんまりである」というご意見もウェブ上で拝見したのですが、コミュニティ内の慣習や考え方が大切であることは私も充分に承知しており、会場では無料コーヒーサービス、瀬名の著書の無料配布、ハンドアウトの無料配布など、できる限りのサービスで対応させていただきました。さらによりよいサービスができないかと現在考えているところです。まずは書籍刊行にご期待をいただければ幸いです。
posted by 瀬名秀明 at 19:36 | TrackBack(1) | ちょっとしたお知らせ

2008年01月28日

ロボット文化を知るための基礎文献はこれだ!

ロボット文化を知るための基礎文献は、なかなかウェブ上では見つけることができません。
以下にリストを掲載しておきます。参考になれば幸い。

●ロボット文化全般を知るなら、
井上晴樹『日本ロボット創世記』NTT出版、1993
井上晴樹『日本ロボット戦争記』NTT出版、2007
Isaac Asimov, Karen Frankel “Robots: Machines in Man’s Image” Outlet, 1987(邦訳版の『ロボットの世界』仙名紀訳、東急エージェンシー出版部、1986では原著の膨大な写真資料が省かれていることに注意)
Jasia Reichardt “Robotics: Fact, Fiction + Prediction” Thames & Hudson, 1978
(上記書籍はいずれも多数の図版を収録している)

●特にサイバネティクス分野について知りたいなら、
パトリシア・S・ウォリック『サイバネティックSFの誕生 ギリシャ神話から人工知能まで』斉藤健一訳、ジャストシステム、1995(原著1980)

●空想物語に出てきたロボットの技術について、マニアックな視点での解説を読みたいなら、
「特集 小説・漫画・映画に登場した先端科学技術」計測と制御、Vol.43, No.1, pp.2-77, 2004
以下の解説記事を掲載
金子隆一「科学技術の予見社としてのSF その実態と機能」pp.2-7
岩田敏彰「AMBAC [Active Mass Balance Auto Control (System)─手足の運動を利用した方向制御機能─]」pp.8-9
松井俊浩「SFロボットのビジュアルなヒューマンインタフェース─機動戦士ガンダムとマルチメディアディスプレイ─」pp.10-14
鈴木隆文「神経接続技術の現状と未来」pp.15-20
杉原知道「ドラえもん〜ロボットらしく、ロボットらしくなく」pp.21-23
松原仁「人工知能・知能ロボット・SF(小説、映画、アニメ、漫画)」pp.24-28
大山英明、阪口健「エンタテイメント作品におけるロボットの操縦方式」pp.29-37
前田太郎「パワードスーツのサイエンス:創作と制御の狭間で」pp.38-45
野田篤司「SFとロケット/宇宙開発」pp.46-51
坂村健「『電脳都市』2」pp.52-58
廣瀬通孝「バーチャルリアリティ(VR)とSF」p.59-64
金子邦彦「人工生命、SF、普遍生物学」pp.65-68
出口弘「SFに見る「社会/歴史シミュレーション」」pp.69-77

●アイザック・アシモフの「ロボット工学の三原則」について、現時点でもっともまとまった論考は、
瀬名秀明「「ロボット学」の新たな世紀へ アシモフ〈ロボット工学の三原則〉の受容と発展」(アイザック・アシモフ『われはロボット[決定版]』小尾芙佐訳、ハヤカワ文庫SF、2004(原著1950)所収)
中島秀之「知能を持つロボット──知能 ロボットの心はプログラムできるか」(けいはんな社会的知能発生学研究会編『知能の謎 認知発達ロボティクスの挑戦』講談社ブルーバックス、2004所収)
(残念ながら海外では興味を惹かれる論考がない)

●ロボット小説アンソロジーの決定版は、
Isaac Asimov, Martin H. Greenberg & Patricia S. Warrick ed. “Machine That Think: The Best Science Fiction Stories About Robots & Computers” Holt, Rinehart & Winston, 1984
瀬名秀明編著『ロボット・オペラ』光文社、2004

●ロボットSFアートを概観したいなら、
野田昌宏『図説 ロボット』河出書房新社、2000

●ロボット文化の年表は、
井上晴樹・永瀬唯作成の年表(『鉄腕アトムの軌跡展』朝日新聞社、2002図録所収)
大山英明、前田太郎、アービン・アガー、舘すすむ「テレイグジスタンス/テレプレゼンス・ロボット:SFから研究開発へ」(ワールドコン2007瀬名企画にて発表)
posted by 瀬名秀明 at 14:29 | TrackBack(1) | 読んで書く、書いて読む

2008年01月25日

PaPeRoと2010年の未来

 1月13日、「PaPeRoアプリケーションチャレンジin仙台」のアイデア発表会が、せんだいメディアテークで開催されました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございます。
 すでにRobot Watchにも記事が出ていますね。
→「「PaPeRoアプリケーションチャレンジ in 東北」アイディア発表会開催〜仙台から発信する、2010年のPaPeRoのお仕事とは?
「ロボコンマガジン」誌の次号にも取り上げていただけるとのこと。

 今回のコンテストは、おそらくロボット研究者主体のシンポジウムではまずお目にかかることのできない発表が目白押しで、ロボット文化を広げる試みとしてはとても意義のあることだったのではないかと思います。
 まず重要なのは、PePeRoが人間と共存する2010年のアプリケーションを思い描いてください、という課題そのもの。遠い未来の空想を語るのではなくて、まさに「あしたのロボット」を発想するわけです。実はこれがいちばん人間にとって難しいことは、「愛・地球博」をはじめ、これまでのロボットイベントが如実に示してきた通り。
 このコンテスト、ワークショップ部門と一般部門に別れていて、一般部門はアイデアを書類に記載して提出、そこから普通に審査するわけですが、おもしろいのはワークショップ部門。かならず3人以上のグループでエントリーして、月に一回仙台のNEC東北でワークショップに参加しなければなりません。そこで実際にPaPeRoを見て、みなでアイデアを練り込んで、発表会に備えるわけです。発表準備の費用も主催者側が用意するので、多くのチームが流麗なフラッシュムービーやパンフレットなどをつくって審査員にアピールします。

 発表会では、寸劇をやってみせるチーム、実際にPaPeRoと会話してみるチームなど、皆が壇上で工夫を凝らします。おしゃれなフィラッシュムービーや寸劇でロボット共存社会の有用性を語るという発想自体が、まずいままでのロボットイベントからすると型破りなはずで、こんな発表の仕方もあったのか、とロボット研究者はびっくりしたかもしれません。
 参加したチームは医療・福祉・経済などの学生さんや一般社会人がほとんどで、ロボットを実際につくっている人たちではありません。つまりロボットの機構とか、PaPeRoに何ができて何ができないのかといった、具体的な技術の限界と可能性も、大雑把にしか出場者には伝えられていなかったはずで、これも斬新な試みだったと思います。ロボット研究者なら技術の限界を見据えた上で未来を想像するでしょう。しかし今回のコンテストで発表された未来像は、医療・福祉・経済などをまさにいま学んでいる学生が、ロボット工学とは違った立場で想像したものです。
 たとえば、豪華客船の各客室に執事PaPeRoを置いて、船内のイベントをエスコートしよう、というアイデアが出ていました。図書館に来た小さな子が、PaPeRoと対話しながら好きな本を探し、本棚までいっしょに歩いて行き、その棚の前でさらに別の本を探すというストーリーを描いたチームもありました。このふたつが優秀賞として賞金30万円を獲得しています。
 ロボット研究者なら「技術的に古い」「すでに検討され、捨てられたものである」というところかもしれません。他のチームの発表も「夢物語に過ぎる」というものがありました。この期待像のギャップをあぶり出せたことそのものが、今回のコンテストの成果だったのではないでしょうか。図書館のアイデアにしても、小さな子がPaPeRoと会話するときは、まず顔や会話で相手の認識させておいて、いざ貸し出し履歴を調べるときは子どもにIDカードを提示させてPaPeRoに認証させる、というディテールが組み込まれていました。セキュリティ問題に新しいディテールを提示しています。このあたりのリアリティはロボット研究者にとっても注目できるところでしょう。豪華客船にしても、そういう非日常のセレブ空間でロボットを使うという発想がいい。
 残念ながらロボット研究者を唸らせるほどのアイデアを出してきたチームはいませんでしたが、それでも発表にムービーや寸劇といったストーリー性を持たせたことによって、生活に根ざしたディテールが冴える結果となったわけです。ここはロボット研究者が見落としがちなところで、違和感を含めインパクトのあったところでしょう。

 一般部門ではPaPeRoのかわいいキャラクターに着目して、そのキャラクターがついた携帯電話を販売し、その携帯電話の中にPaPeRoというキャラクターを登場させて、メール作成や地図検索などを手伝ってもらうというアイデアが優秀賞を獲得しました。これなどPaPeRoがロボットである必要性すら稀薄なのですが、実際に開発できそうという点では一等でしたね。
 審査員もロボットの専門家でない方が多く、何を評価するのかという基準も含めて私にとっても新鮮な体験でした。
 ごくふつうにしかロボットをしらない人が、ロボットに対して何を思い描き、どんなディテールを語れるのか。今回のコンテストはその意味で、従来にないおもしろさを出せたように思います。

 このコンテストは継続して、きちんと先代の文化に育て上げてゆくべきだろうと思います。そのうち工学系の学生さんたちも参加して、互いの発表に違和感を持ち合い、議論が始まって、そこからよりよいアイデアが生まれてくるだろうと思います。そこまでやらなければならないでしょう。
 やがてロボットと人の共存社会が来たとき。「ああ、この共存のアイデアは仙台が発祥の地なんだよ」といわれるようになれば嬉しいですね。
 今度も「PaPeRoアプリケーションチャレンジin仙台」が続くことを期待しています。
posted by 瀬名秀明 at 20:35 | TrackBack(0) | 読んで書く、書いて読む