東北芸術工科大学が「東北ルネサンスプロジェクトin仙台」と題して、仙台で3つの講座シリーズを展開しています。「赤坂憲雄対論[東北・知の系譜]」「小説家・ライター講座」そして「編集者講座」です。これは東北芸術工科大学東北文化研究センターが、「東北ルネサンスの理念の下、東北から日本を照らす芸術運動をめざして」開催されているものですが、実際の講座は当初の理念と大きくかけ離れたものであると感じるので、ここに私見を述べることにいたします。
私自身、「赤坂憲雄対論[東北・知の系譜]」の第1回で講師として話し、また昨日は「編集者講座」第1回の山森利之講師のお話を(自費で参加料を支払って)拝聴しました。
もともとこのプロジェクトは、「東北ルネサンス」の第2ステージとして、東北でさらに豊かな文化を花開かせ、また東北から作家や編集者を輩出することで文化環境のさらなる向上を目指して進められたものだと思います(ここに理念が記されています)。実際、この第2ステージ開始されるにあたっておこなわれた記者会見では、いま東北を拠点として活躍している作家の名が挙げられると同時に、もっと東北に根づいた編集者が必要だ、という訴えがなされました。地方の出版文化を豊かにするためには、地方でもっとよい編集者をたくさん育てなければならない。そのために編集者講座をつくるのだ、という発想に、私は強く共鳴しました。作家養成講座ならあちこちで開催されています。地元を讃える文化講演会もたくさんあることでしょう。しかし今回のプロジェクトでユニークだったのは、編集者講座をあえて開設したことだと私は感じました。おそらくは、有限会社荒蝦夷の土方正志さんのご尽力によるのでしょう。
これらの理念の根底には、東北芸術工科大学東北文化研究センターの赤坂憲雄氏による「ひとつの日本からいくつもの日本へ」という研究姿勢があったのだと思います。日本の文化はひとつに集約できるものではない、各地方の文化をそのまま起ち上げることで、日本の文化の総体がより豊かに見えてくる、という考え方だと理解していますが、私自身これらの姿勢には共鳴し、当初は成功を祈念していました。
このようなわけで、特に私が注目したのは、東北で編集者を育てよう、という試みでした。私はいま東北で原稿を書いています。もちろん中央の出版社・新聞社とのつきあいはいまでも多く、それらが主体ですが、同時に東北大学機械系特任教授に就任してからは地元の編集者と仕事をする機会が格段に増えたわけです。
しかし地元の編集者は、地方独特のしがらみにとらわれており、本来持っていると思われる力をほとんど発揮できていないのですね。新人も満足に養成できない、志が削り取られて、しまいには仕事のクオリティさえ落としてしまう、といった状況を何度も見てきました。地方の編集者でも中央の大手出版社に引けを取らない仕事を展開できないものか。彼らがもっと豊かに活躍できるような環境をつくりあげるにはどうすればいいのか。そこに作家は何ができるのか。この2年ほど、私にとってこのことが最大の課題となっていました。
「東北ルネサンスプロジェクトin仙台」は、仙台に拠点を置く「有限会社荒蝦夷」という編集プロダクションが実務を担当しています。しかし彼らは、一例を挙げると7月下旬に刊行するといって私たち作家から性急に原稿を取っていきながら、9月末のこの時点でもまだ『仙台学』を発刊できていない。そのことにについて何の連絡もできない。とうぜん原稿料も振り込めない。なぜかというと、この3つの講座を抱えているので、とても編集する余裕がない。すでにあった他の仕事のクオリティを下げて、昔からの知り合いであった赤坂憲雄さんのサポート仕事に絞らなければやっていけない状況が生じてしまったわけです。有限会社荒蝦夷の中心人物である土方さんはよい仕事をしてきたと思いますが、彼の意識が会社全体に浸透しているとも思えません。私自身、スタッフからは他の仕事を通してちょっと唖然とするような開き直りをこれまで聞いてきました。
それでも私は、彼らがこの「東北ルネサンスプロジェクトin仙台」でどのような仕事をなし得るのか、注目していました。彼らの理念はとてもすばらしいもので、応援したいからです。ところが、実際の講座は、当初の理念を達成できていると思えないものでした。
これらの講座に参加すると、有限会社荒蝦夷スタッフが会場の後ろにずらりと並んでいます。特に何かをしているようにも見えません。毎週のようにこんなことをやっていたら、確かに他の仕事はおろそかになってしまうでしょう。他の仕事の契約を軽んじても、昔からのつきあいである東北芸術工科大学にはスタッフを導入するその姿勢に、私は寂しさと悲しさを覚えるのです。司会進行もただ講師の略歴を述べ、会場から質問を募るだけ。誰でもできる仕事です。よりよい議論の場をつくろうという努力はまったく見られません。
つまり東北芸術工科大学が「東北ルネサンスプロジェクト」を推進することで、皮肉にもそれまで東北にあった編集文化の一部は、明らかにクオリティを下げ、衰弱してしまったのです。ただ講座をルーチンで取り仕切ることだけに労力がすべて持って行かれ、彼らが本来目指していたはずの豊かな東北芸術文化はむしろ被害を被りました。有限会社荒蝦夷は、結局のところ赤坂憲雄さんの下請け会社でしかなかった、その他の仕事には何の思い入れもなく、切羽詰まったら東北の編集文化の現場を投げ出してしまう脆弱さを抱えていた、ということが判明したわけです。そのような人たちが東北の編集文化などと唱えているこの矛楯は、喜劇ですらあります。では誰が勝利したか? 予算を獲得した東北芸術工科大学だけです。
毎回招聘している講師たちが、今後東北の文化との繋がりを持続させてゆくでしょうか。それらが有機的につながってゆくでしょうか。そういったことに対する主催者側の努力はなされているでしょうか。そのようには見えません。
「赤坂憲雄対論[東北・知の系譜]」で私は赤坂憲雄さんに、「いま本当に東北ルネサンスというのはあるのだろうか。あるとしたら、どのようなものか。赤坂さんはこのプロジェクトで何を目指すのか」と直接問い掛けました。しかし赤坂さんからのご返答は曖昧なもので、むしろ東北というこだわりを取り除きたいというお考えだったと感じています。対論にしてもその場のアドリブが重視され、全体の講座の理念などは二の次という印象でした。そもそも赤坂さん自身、「東北・知の系譜」というタイトルへの明確なヴィジョンをお持ちではなかったわけです。
昨日の山森さんのご講演「週刊誌をつくる」は、コンパクトにわかりやすくまとまったお話で、有用なものでした。週刊誌は個人の記事がつくるメディアである、というご指摘は特に示唆的で、重要であったと思います。
しかし、この「東北ルネサンスプロジェクト」は、ただ中央の作家や編集者を招いて、彼らの話を拝聴する、それだけでよいのでしょうか。地方の文化講演会はそういった性格のものが多く、そして聴衆もそれでほぼ満足してしまうものです。その意味では成功といえるでしょう。ふだんあまり聞かない話を聞いて啓発される、それだけでよいといえばよいのかもしれません。
ですが、「東北ルネサンスプロジェクト」が目指すものはそうではなかったはずです。いま主催者自身が最初の理念を忘れて、ただ中央の人を招聘して地方の人々に届ける、それで満足してしまいつつあります。本当にそれでいいのでしょうか。
仲間をつくること、そして中央の編集者ともつきあうこと、という山森さんのアドバイスは、これから中央ではなく地方の編集を担う若い人たちにとって有用だと感じました。また誰かにインタビューをするとき、怖いという感覚を忘れてはいけない、自分のことはすべて見通されるという感覚で臨むことを忘れてはいけない、というお話は、仕事の厳しさを伝えるものだったと思います。
また一方で、週刊誌をつくるために本当に必要な情報を持っている人は中央にしか存在しない、だから総合週刊誌は中央でつくられる、というご発言は、「いくつもの日本へ」という赤坂憲雄さんの理念に対して重要な一石を投じるものでした。
これらのアドバイスを、本当は主催者自身がいま謙虚に受け止めなければならない。
「東北ルネサンスプロジェクトin仙台」は、事務作業さえ混乱していることが見て取れます。開催スケジュールの告知ページは、ようやく一カ月前にできたという有様です。起ち上げ初期のころは、私が大学に直接問い合わせても要領の得ない答しか返ってきませんでした。
地方の文化活動って、こんなものなんでしょうか。
どのようにすればよいのか。
まず赤坂憲雄さんの「いくつもの日本へ」という数年前のスローガンが、いまでも有効であるのか、主催者側は自ら批判的に「東北ルネサンスプロジェクト」を推進する必要があるでしょう。赤坂さんと対談した限り、すでに赤坂さんは東北というこだわりを以前ほどは持っていないように見受けられます。その中で「東北ルネサンス」という表題を掲げることの意味は何かが問われます。
一方、東北ルネサンスプロジェクトへの出資者は、文字通り東北の文化発展を願っているのだろうと思います。ここに主催者側と出資者側の意識のギャップが生じています。あえて東北の文化にこだわらず、東北の人に刺激を与えるというだけのプロジェクトでも、それはそれで構わないと思いますが、それではふつうの文化講演会と同じ。出資者の要請に応えられているのか、主催者側は自己検証する必要があります。
実務を担当する有限会社荒蝦夷は、まずなによりも自社の体制を見直し、編集プロダクションとしてのクオリティ低下に歯止めをかけるよう努力するべきでしょう。中央から招聘した編集者と多くの議論をして、自らを啓発してゆくことを望みます。
本来「東北ルネサンスプロジェクト」は、理念のウェブサイトにも記されている通り、3つの講座だけでなく幅広い文化活動を目標としていました。講座に参加した人たちがこのような文化活動に関わり、そこから実際の編集・執筆を通して新しい文化を創出してゆく、そのような場をマネージしてゆくことが大切だと思います。講座に参加した人のアクションを支援できる東北の土壌を整備することです。講座をやりっ放しの現状では、とてもルネサンスとはいえません。
私は「東北ルネサンスプロジェクト」の理念を評価します。しかしながら、実際におこなわれているプロジェクトはお粗末なものだと感じるほかありません。今後の発展に期待するところですが、もっと参加者側からの意見を発信し、主催者側へ伝えてゆくことも大切だろうと思います。今後のプロジェクトの充実を願い、ここにひとつの批判として発信いたします。
*2007.10.15追記
ブログの読者の方から「東北ルネッサンスプロジェクトへのご批判というか叱咤激励されていることに、エールを送りたい」とのご感想が届いております。ありがとうございます。
*2008.1.25追記
関心の高いエントリーのようですので、続編のこちらにもリンクしておきます。
→「2007.12.1「仙台学vol.5」原稿」
瀬名秀明がゆく!東北大学機械系 *毎週金曜日更新
Science Pot 中学生と東大大学院生が科学を一緒に楽しむためのサイト
瀬名秀明の本棚β *著作一覧はこちら
瀬名秀明の課外ゼミ[flight]+東北大学キャンパス散歩
2007年09月30日
東北ルネサンスプロジェクトを批判する
posted by 瀬名秀明 at 03:21
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2007年09月19日
記事・書評
【記事】日刊スポーツ/2007.3.8/相原斎「相原斎のCinema EYE 博物館は楽しい−ナイトミュージアム(3月17日公開=米)−」
【記事】讀賣新聞/2007.5.28/(無記名)「26日の一般常識・時事問題まとめ 大学全入時代、学生獲得へPR作戦に知恵絞る」
【記事】ミステリマガジン/2007.6/特集・面白さは国境を越える ニッポン小説の実力/香山二三郎「この日本ミステリを輸出せよ!」pp.34-35/早川書房編集部編「ニッポン小説英訳本リスト」pp.46-50
【記事】毎日新聞/2007.7.11 /元村有希子「「私が予言する21世紀」アイデア募集」p.17
【記事】讀賣新聞/2007.7.7/(無記名)「東北ひとサイト 第4部 表現者たち (2)好きな釣りを文章に」
【記事】izaβ版/2007.8.29(無記名)「夕刊フジ、9月3日にリニューアル」
【記事】Robot Watch/2007.9.3/森山和道「第65回世界SF大会/第46回日本SF大会「Nippon2007」パネルディスカッション企画「サイエンスとサイエンスフィクションの最前線、そして未来へ!」レポート」
【記事】讀賣新聞/2007.9.4/佐藤憲一「空想文学の世界大会 Nippon2007」p.17
【記事】SFマガジン/2007.10/ワールドコンの歩き方「テーマ別お薦め企画ガイド」/井手聡司「優柔不断な国内作家めぐり 日本人作家関連企画」pp.210-212
【記事】讀賣新聞/2007.5.28/(無記名)「26日の一般常識・時事問題まとめ 大学全入時代、学生獲得へPR作戦に知恵絞る」
【記事】ミステリマガジン/2007.6/特集・面白さは国境を越える ニッポン小説の実力/香山二三郎「この日本ミステリを輸出せよ!」pp.34-35/早川書房編集部編「ニッポン小説英訳本リスト」pp.46-50
【記事】毎日新聞/2007.7.11 /元村有希子「「私が予言する21世紀」アイデア募集」p.17
【記事】讀賣新聞/2007.7.7/(無記名)「東北ひとサイト 第4部 表現者たち (2)好きな釣りを文章に」
【記事】izaβ版/2007.8.29(無記名)「夕刊フジ、9月3日にリニューアル」
【記事】Robot Watch/2007.9.3/森山和道「第65回世界SF大会/第46回日本SF大会「Nippon2007」パネルディスカッション企画「サイエンスとサイエンスフィクションの最前線、そして未来へ!」レポート」
【記事】讀賣新聞/2007.9.4/佐藤憲一「空想文学の世界大会 Nippon2007」p.17
【記事】SFマガジン/2007.10/ワールドコンの歩き方「テーマ別お薦め企画ガイド」/井手聡司「優柔不断な国内作家めぐり 日本人作家関連企画」pp.210-212
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2007年09月18日
仕事
【エッセイ】小説宝石/2007.9/「大空の夢と大地の旅 第三回 飛行機免許取得への道(後編)」pp.336-349 【amazon】【広告】
【書評】朝日中学生ウイークリー/2007.7.15号/ブックパラダイス/「科学の新たな時代にわくわく」p.15/連載第16回
【書評】朝日中学生ウイークリー/2007.8.19号/ブックパラダイス/「シャチの世界へ冒険の扉を開く」p.15/連載第17回
【エッセイ&ショートショート】バイオテクノロジージャーナル/2007.9-10/羊土社/ISBN978-4-758102032/本体2500円/科学する物語・空想する科学/第5回「皮膚は少女の唇を憶えている」pp.614-615 【amazon】【bk1】【広告】 *皮膚の温感とグウィネス・パルトロウの映画『大いなる遺産』。
【イベント再録】河北新報/2007.4.21/企画・制作=河北新報社広報局「ちからこぶる宮城#1 「知」のちからこぶ」pp.16-17
【論文】ROBOMEC'07/2007.5.10-12/秋田市民交流プラザアルヴェ1Fきらめき広場/Women in Robotics:共同参画社会のロボティクス/瀬戸文美、森山和道、瀬名秀明「2A2-I08 ロボティクスを取り巻くメディア、活動とその動向 Latest Move in Media and Activities surrounding Robotics」
【インタビュー】讀賣新聞/2006.5.21/
木村達矢「<連載>・[いきいきワーク・発見の旅](2)ものづくり立国 生命科学とつながりも/瀬名秀明・東北大大学院特任教授」
【インタビュー】IMPRESSION GOLD/2007.9/FEATURE II: TRAVEL SKETCH OF MOROCCO & MAURITANIA/文=編集部、写真=山西智仁「作家・瀬名秀明、マグレブ・サハラ、最果ての大地へ。」pp.44-53
【シンポジウム録】日経サイエンス/2007.10/(無記名)「理化学研究所 脳科学総合研究センター 創立10周年記念事業 シリーズトーク”脳も知らない未来へ!” セッション2 脳と想像力 意識とテクノロジーの共生」表4
【ラジオ出演】茨城放送/テクノロジールネッサンス!/「あしたのロボット 作家 瀬名秀明」/第1回「ロボットとの出会い」2007.8.4/第2回「ロボットと人間のあいだ」2007.8.11/第3回「ロボットを動かす」2007.8.18/第4回「やさしいロボット社会」2007.8.25
【講演録】慶應義塾大学理工学部『社会を知る 自分を知る 自分を育てる 人間教育講座2006年度』/2007.3.30/「社会の中でどう生きるかーーゴーストの信頼と勇気」pp.39-85/制作=慶應義塾大学出版会株式会社 *非売品
【コメント再録】Cobalt/2007.10/ロマン大賞・ノベル大賞特別企画 あなたも作家になれる!/「歴代選考委員からのアドバイス!」p.188
【対談録】Clappa!(クラッパ!)/テキスト:梅原英司、監修:プロダクション I.G 出版局「5月際対談 瀬名秀明×櫻井圭記 特別対談 オリジナルとコピーのはざまで ゴーストが宿る場所」全8回/2007.7.2「第1回 ロボットと人間の関係性」/2007.7.9「第2回 「ロボットらしさ」「人間らしさ」とはなにか?」/2007.7.16「第3回 人間がロボットに近づいているのか?」/2007.7.30「第4回 ロボットにゴーストは宿るか?」/2007.8.13「第5回 人形使いと操りの構造」/2007.8.22「第6回 同期する意識と不定人称格」/2007.9.18?「第7回 スタンドアローンコンプレックスという構造と引用によるコミュニケーションについて」/2007.9.25「第8回 コミュニケーションのルールと『イノセンス』に見られる対立の構造」
【書評】朝日中学生ウイークリー/2007.7.15号/ブックパラダイス/「科学の新たな時代にわくわく」p.15/連載第16回
【書評】朝日中学生ウイークリー/2007.8.19号/ブックパラダイス/「シャチの世界へ冒険の扉を開く」p.15/連載第17回
【エッセイ&ショートショート】バイオテクノロジージャーナル/2007.9-10/羊土社/ISBN978-4-758102032/本体2500円/科学する物語・空想する科学/第5回「皮膚は少女の唇を憶えている」pp.614-615 【amazon】【bk1】【広告】 *皮膚の温感とグウィネス・パルトロウの映画『大いなる遺産』。
【イベント再録】河北新報/2007.4.21/企画・制作=河北新報社広報局「ちからこぶる宮城#1 「知」のちからこぶ」pp.16-17
【論文】ROBOMEC'07/2007.5.10-12/秋田市民交流プラザアルヴェ1Fきらめき広場/Women in Robotics:共同参画社会のロボティクス/瀬戸文美、森山和道、瀬名秀明「2A2-I08 ロボティクスを取り巻くメディア、活動とその動向 Latest Move in Media and Activities surrounding Robotics」
【インタビュー】讀賣新聞/2006.5.21/
木村達矢「<連載>・[いきいきワーク・発見の旅](2)ものづくり立国 生命科学とつながりも/瀬名秀明・東北大大学院特任教授」
【インタビュー】IMPRESSION GOLD/2007.9/FEATURE II: TRAVEL SKETCH OF MOROCCO & MAURITANIA/文=編集部、写真=山西智仁「作家・瀬名秀明、マグレブ・サハラ、最果ての大地へ。」pp.44-53
【シンポジウム録】日経サイエンス/2007.10/(無記名)「理化学研究所 脳科学総合研究センター 創立10周年記念事業 シリーズトーク”脳も知らない未来へ!” セッション2 脳と想像力 意識とテクノロジーの共生」表4
【ラジオ出演】茨城放送/テクノロジールネッサンス!/「あしたのロボット 作家 瀬名秀明」/第1回「ロボットとの出会い」2007.8.4/第2回「ロボットと人間のあいだ」2007.8.11/第3回「ロボットを動かす」2007.8.18/第4回「やさしいロボット社会」2007.8.25
【講演録】慶應義塾大学理工学部『社会を知る 自分を知る 自分を育てる 人間教育講座2006年度』/2007.3.30/「社会の中でどう生きるかーーゴーストの信頼と勇気」pp.39-85/制作=慶應義塾大学出版会株式会社 *非売品
【コメント再録】Cobalt/2007.10/ロマン大賞・ノベル大賞特別企画 あなたも作家になれる!/「歴代選考委員からのアドバイス!」p.188
【対談録】Clappa!(クラッパ!)/テキスト:梅原英司、監修:プロダクション I.G 出版局「5月際対談 瀬名秀明×櫻井圭記 特別対談 オリジナルとコピーのはざまで ゴーストが宿る場所」全8回/2007.7.2「第1回 ロボットと人間の関係性」/2007.7.9「第2回 「ロボットらしさ」「人間らしさ」とはなにか?」/2007.7.16「第3回 人間がロボットに近づいているのか?」/2007.7.30「第4回 ロボットにゴーストは宿るか?」/2007.8.13「第5回 人形使いと操りの構造」/2007.8.22「第6回 同期する意識と不定人称格」/2007.9.18?「第7回 スタンドアローンコンプレックスという構造と引用によるコミュニケーションについて」/2007.9.25「第8回 コミュニケーションのルールと『イノセンス』に見られる対立の構造」
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2007年09月10日
これからの講演
【講演】東北大学百周年企画展講演会「科学と小説と夢見る力 −東北大学機械工学科研究室の声から−」/2007.9.16(日)14:00-15:30/江戸東京博物館・会議室
【講演】ゲノム科学総合研究センター10周年記念講演会「GSCの10年とゲノム科学の“新たなる挑戦”」/2007.9.26(水)9:30-17:30/14:40-15:30「記念講演2」/主催:理化学研究所 ゲノム科学総合研究センター/経団連ホール *参加費無料・事前申し込み必要 *おしらせ
【講演】2nd Korean Japan Joint Workshop on Pattern Recognition (KJPR2007)/2007.10.25(木)13:30-14:30/「Pattern recognition: the edge of science, from the viewpoint of science fiction」/ホテル松島大観荘
【トークセッション】脳科学ひろば/2007.10.27(土)18:00-19:30/池谷裕二、佐倉統、瀬名秀明、加藤忠史「脳科学地図のゆくえ」/東京・南青山スパイラル
【講演】ゲノム科学総合研究センター10周年記念講演会「GSCの10年とゲノム科学の“新たなる挑戦”」/2007.9.26(水)9:30-17:30/14:40-15:30「記念講演2」/主催:理化学研究所 ゲノム科学総合研究センター/経団連ホール *参加費無料・事前申し込み必要 *おしらせ
【講演】2nd Korean Japan Joint Workshop on Pattern Recognition (KJPR2007)/2007.10.25(木)13:30-14:30/「Pattern recognition: the edge of science, from the viewpoint of science fiction」/ホテル松島大観荘
【トークセッション】脳科学ひろば/2007.10.27(土)18:00-19:30/池谷裕二、佐倉統、瀬名秀明、加藤忠史「脳科学地図のゆくえ」/東京・南青山スパイラル
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2007年09月07日
作家と科学者は、対話できるだろうか
ワールドコン企画以降、パネルにご参加いただいた作家や研究者の方々から、刺激的なご提案をいただいています。
まず、作家のテッド・チャン氏とメールで話すことができました。彼は第一部のとき、客席から見ながら、なぜ作家たちは科学者からの問いかけに応えないのか、と不満を感じていたようでした。もちろんこれは私の司会進行の手際が悪かったことに原因があります。第二部の議論では、間接的ながら、作家たちは問いかけに応えていたと私は感じています。
しかしチャン氏の落胆は、おそらく壇上でのやりとりよりも、自分自身に向けられていたものだったのかもしれません。なぜ作家は科学者からの問いかけに応えられないのか、と、彼は自分自身にも問いかけていたのかもしれない、そう感じます。彼の誠意に感銘を受けた、とスタッフのひとりが私にメールで語ってくれました。
チャン氏からの呼びかけにより、これからパネリストとチャン氏との対話が進んでゆきそうです。それぞれの対話は各パネリストに委ねますが、大いなる実りとなることを期待しています。
またパネリストの研究者のひとりから、作家と科学者をつなぐネットワークコミュニティのようなものはつくれないだろうか、というご提案をいただいています。
これまでのSFコミュニティのあり方とはまた違った、物語と科学のコミュニケーションを築けないだろうか、ということです。もちろんここにはSF作家だけでなく、ミステリーやその他さまざまなジャンルの作家が集ってもよいでしょう。仲間内の愉しさだけではなく(それも大切なものではあるでしょうが)、大人のコミュニケーションをつくることができれば、それはこれからの物語と科学の関係にとっても有効でしょう。
むろん、作家がすべて、対話を好むというわけではありません。そんなものは不要、作家はただ作品を書くことにのみ集中すればよいと思う人も多いでしょうし、もともと仲間内以外との対話は苦手だという人も多いでしょう。作家すべてに必要だとは私も思いません。ただ、科学者との対話や議論に魅力を感じる作家は、これまで文学の世界では亜流・傍流とされてきました。しかしこれからはそんなことを考えなくてもよいのかもしれません。
ごく自然な対話や議論によって、少しばかり互いに豊かになれる。そして互いに明日の研究や創作に戻り、少しばかり以前よりもおもしろい仕事ができるようになる。そのくらいの豊かさこそが、本当の愉しさといえるでしょう。
少しずつ考えて、できるところから実現してゆきたいと願っています。継続してゆくことが大切なのでしょう。
私は12年前、『パラサイト・イヴ』でデビューしたとき、さまざまな批判を受けました。正直なところ、SFについて考えると、いまでも身体が震え、呼吸が苦しくなります。大袈裟ではなく、これは事実です。私にとってSFは持病となってしまいました。
私はずっと孤独であると考えていました。しかし12年も経って、実は時代も変わっていたのですね。
うまくいえませんが、そう感じました。
まず、作家のテッド・チャン氏とメールで話すことができました。彼は第一部のとき、客席から見ながら、なぜ作家たちは科学者からの問いかけに応えないのか、と不満を感じていたようでした。もちろんこれは私の司会進行の手際が悪かったことに原因があります。第二部の議論では、間接的ながら、作家たちは問いかけに応えていたと私は感じています。
しかしチャン氏の落胆は、おそらく壇上でのやりとりよりも、自分自身に向けられていたものだったのかもしれません。なぜ作家は科学者からの問いかけに応えられないのか、と、彼は自分自身にも問いかけていたのかもしれない、そう感じます。彼の誠意に感銘を受けた、とスタッフのひとりが私にメールで語ってくれました。
チャン氏からの呼びかけにより、これからパネリストとチャン氏との対話が進んでゆきそうです。それぞれの対話は各パネリストに委ねますが、大いなる実りとなることを期待しています。
またパネリストの研究者のひとりから、作家と科学者をつなぐネットワークコミュニティのようなものはつくれないだろうか、というご提案をいただいています。
これまでのSFコミュニティのあり方とはまた違った、物語と科学のコミュニケーションを築けないだろうか、ということです。もちろんここにはSF作家だけでなく、ミステリーやその他さまざまなジャンルの作家が集ってもよいでしょう。仲間内の愉しさだけではなく(それも大切なものではあるでしょうが)、大人のコミュニケーションをつくることができれば、それはこれからの物語と科学の関係にとっても有効でしょう。
むろん、作家がすべて、対話を好むというわけではありません。そんなものは不要、作家はただ作品を書くことにのみ集中すればよいと思う人も多いでしょうし、もともと仲間内以外との対話は苦手だという人も多いでしょう。作家すべてに必要だとは私も思いません。ただ、科学者との対話や議論に魅力を感じる作家は、これまで文学の世界では亜流・傍流とされてきました。しかしこれからはそんなことを考えなくてもよいのかもしれません。
ごく自然な対話や議論によって、少しばかり互いに豊かになれる。そして互いに明日の研究や創作に戻り、少しばかり以前よりもおもしろい仕事ができるようになる。そのくらいの豊かさこそが、本当の愉しさといえるでしょう。
少しずつ考えて、できるところから実現してゆきたいと願っています。継続してゆくことが大切なのでしょう。
私は12年前、『パラサイト・イヴ』でデビューしたとき、さまざまな批判を受けました。正直なところ、SFについて考えると、いまでも身体が震え、呼吸が苦しくなります。大袈裟ではなく、これは事実です。私にとってSFは持病となってしまいました。
私はずっと孤独であると考えていました。しかし12年も経って、実は時代も変わっていたのですね。
うまくいえませんが、そう感じました。
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2007年09月03日
お詫び
下のエントリーで、私は血迷ったことを書いてしまいました。申し訳ありません。
私がまず書かなければならなかったのは、何よりもご協力いただいたカフェ・サイファイティークの皆様や、5時間もの間ずっと喋り通しだった通訳の皆様、機材調整などにご協力いただきましたボランティアスタッフの皆様、この企画の場を与えていただきましたワールドコン実行委員会の皆様や日本SF作家クラブの皆様、そして多くの魅力的な企画がワールドコンでひしめくなか、足を運んでいただいた会場の皆様への感謝の言葉でした。遅れてしまいましたが、いまここに、心より御礼を申し上げます。企画進行中もこれら感謝の気持ちを一時とも忘れたつもりはありませんでしたが、いざ企画が終わり、いくつかの自分の不手際を知り、また思い直した時点で、ついネガティヴな言葉が出てしまったのでした。
12年前に『パラサイト・イヴ』でデビューしてからの、さまざまなことが想起されて、身体と心の制御がつかないまま文章を書いてしまったのでしょう。
今回の企画は、NTT出版様より刊行する予定でおります。まずは私がテープ起こしからはじめて、少しでもよい本にするようこれから努力したいと思います。
また不手際のあった部分は、これから少しでもフォローアップしてゆきたいと思います。自らの精進につとめますので、どうかご容赦下さい。
パネリストの皆様、特別ゲストの小松先生、パネル展示でご協力いただいた先生や、装置デモンストレーションのためにお出でいただいた皆様、皆様のおかげで5時間という長いシンポジウムを進めることができました。ご出演依頼に快くお返事をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。
私がまず書かなければならなかったのは、何よりもご協力いただいたカフェ・サイファイティークの皆様や、5時間もの間ずっと喋り通しだった通訳の皆様、機材調整などにご協力いただきましたボランティアスタッフの皆様、この企画の場を与えていただきましたワールドコン実行委員会の皆様や日本SF作家クラブの皆様、そして多くの魅力的な企画がワールドコンでひしめくなか、足を運んでいただいた会場の皆様への感謝の言葉でした。遅れてしまいましたが、いまここに、心より御礼を申し上げます。企画進行中もこれら感謝の気持ちを一時とも忘れたつもりはありませんでしたが、いざ企画が終わり、いくつかの自分の不手際を知り、また思い直した時点で、ついネガティヴな言葉が出てしまったのでした。
12年前に『パラサイト・イヴ』でデビューしてからの、さまざまなことが想起されて、身体と心の制御がつかないまま文章を書いてしまったのでしょう。
今回の企画は、NTT出版様より刊行する予定でおります。まずは私がテープ起こしからはじめて、少しでもよい本にするようこれから努力したいと思います。
また不手際のあった部分は、これから少しでもフォローアップしてゆきたいと思います。自らの精進につとめますので、どうかご容赦下さい。
パネリストの皆様、特別ゲストの小松先生、パネル展示でご協力いただいた先生や、装置デモンストレーションのためにお出でいただいた皆様、皆様のおかげで5時間という長いシンポジウムを進めることができました。ご出演依頼に快くお返事をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。
posted by 瀬名秀明 at 23:46
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2007年09月02日
ワールドコン企画ありがとうございました
ワールドコン企画にご参加いただきました皆様、ありがとうございました。またご協力いただきました皆様に感謝いたします。
私の力不足のゆえに、司会進行は不充分なものとなりました。ここで伏してお詫び申し上げます。私は研究者たちのパネルディスカッションに関してはそれなりの場数を踏み、どの司会者よりもよい司会ができると考えていました。しかしそれはうぬぼれでした。研究者の呼吸と作家の呼吸は、私が考える以上にはるかに異質なもので、それをコーディネートするのは難しいものでした。また私は研究者の皆様の時間配分を制御することはできず、現時点でウンターネット上には司会進行の手際の悪さを批判する声が出ております。また私の不手際ゆえに、海外作家の心証を害してしまいました。心からお詫びを申し上げます。もう私はSFとは関わりません。SF関係者の皆様に深くお詫びを申し上げます。しかしどうか海外作家の皆様は、日本を嫌いにならないでほしいのです。本来ならば作家という職業を辞してお詫びを申し上げるべきでしょう。私が全て間違っていました。申し訳ありませんでした。全ての皆様に心からお詫びを申し上げます。
許してはいただけないものと思います。本当に申し訳ありませんでした。心からお詫びを申し上げます。
私の力不足のゆえに、司会進行は不充分なものとなりました。ここで伏してお詫び申し上げます。私は研究者たちのパネルディスカッションに関してはそれなりの場数を踏み、どの司会者よりもよい司会ができると考えていました。しかしそれはうぬぼれでした。研究者の呼吸と作家の呼吸は、私が考える以上にはるかに異質なもので、それをコーディネートするのは難しいものでした。また私は研究者の皆様の時間配分を制御することはできず、現時点でウンターネット上には司会進行の手際の悪さを批判する声が出ております。また私の不手際ゆえに、海外作家の心証を害してしまいました。心からお詫びを申し上げます。もう私はSFとは関わりません。SF関係者の皆様に深くお詫びを申し上げます。しかしどうか海外作家の皆様は、日本を嫌いにならないでほしいのです。本来ならば作家という職業を辞してお詫びを申し上げるべきでしょう。私が全て間違っていました。申し訳ありませんでした。全ての皆様に心からお詫びを申し上げます。
許してはいただけないものと思います。本当に申し訳ありませんでした。心からお詫びを申し上げます。
posted by 瀬名秀明 at 01:49
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